陽の当たる道を目指す

過去の体験談とか趣味の話をつらつら書いてきます。本の話がやや多めかも。暇つぶしくらいにはなれるように頑張ります

深い森の中を探索!ドイツ文学の特徴と、ぜひ読んでおくべきオススメ作品8選

大学のときドイツ文学の講義を取っていました。

その講義の先生が、ドイツ文学の特徴として話していた例えがなるほどという感じで面白かったので紹介します。

フランス文学を、舗装された綺麗な道を歩く行為と例えるなら、ドイツ文学は、鬱蒼とした森の中の道なき道を進むようなものだ」と。(その先生のオリジナルではなく、何かの論文の引用だったと思います)

もちろん一概にには言えませんが、ドイツ文学って何かそういう暗い雰囲気があるんですよね。

 

あと、ドイツ人が好む言葉でgemütという単語があります。訳すのは難しいですが、情感のある、とかそんな感じでしょうか。日本人は芸術作品を評価するとき、情緒的という表現をよく使いますが、それに近い感覚だそうです。

 

さて、そんな深い森の中をさまよえるドイツの文学作品を紹介します。

 

 

「変身」 フランツ・カフカ

「ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。

という有名な書き出しで始まるこの小説。

不条理な現実に直面しつつも、家族のことを想うKと、気持ちが離れていく家族との関係が切ない。
ただ、カフカ自身はこの話を友人とゲラゲラ笑いながら読み聞かせていたそうです。なので、こちらも軽ーい気持ちで読めばいいのかなとも思います。

 

変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)

 

 

 

若きウェルテルの悩み」  ゲーテ

当時の若者がこの小説を夢中になって読み、街から人が消えたとか消えてないとかの逸話も残る作品です。

ウェルテルが友人に当てた手紙というかたちで物語が進み、シャルロッテへの愛、しかし彼女には婚約者がいるためにその思いがかなうことがないという苦悩、ところどころに見え隠れするウェルテルの幼さとエゴ。そんなものが混じって、今読んでも十分面白い小説に仕上がっています。

ちなみに、お口の恋人ロッテこと、株式会社ロッテ は、この物語のヒロイン、シャルロッテがとったそうです。

 

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

 

 

 

魔の山」 トーマス・マン

マンなら、長いですけど、この作品にチャレンジするべきだと思います。もうね、長いし少し間延びした印象はあるんですけど、冒頭で書いたような、森の中をあてもなくさまよう感覚が最も味わえるのではないかと思うわけです。

物語はハンス・カストルプという青年がサナトリウム(結核患者も療養施設)に親戚のお見舞いに訪れるところから始まります。しかし自身も体調を崩し、サナトリウムで療養することに。当初は数週間の予定が、いつの間にか1年、2年と時が過ぎ、すっかり魔の山の住人に。

そこでの、他の患者とのあれこれ議論が話のメインになります。なのでストーリーとしては実はそんなに動きはないんですよね。適当なところで読み終えてもいいくらいです(笑)

どこかの書評で、作者自身も魔の山に迷い込んだ1人、みたいに書かれていましたけど、いい得て妙ですね。

 

魔の山〈上〉 (岩波文庫)

魔の山〈上〉 (岩波文庫)

 

 

 

車輪の下」 ヘルマン・ヘッセ

こちらもそんなさわやかな話ではないです。

町1番の秀才、ハンス・ギーベンラートが名門の学校に合格するも、いろいろ苦悩するという話です。

個人的な話をすると、大学でドイツ文学の講義を受けていた時、受講していたのは10人くらいだったんですが、先生が10個の作品を持ってきて、ランダムでその中の1つが決められて、その作品についてレポートをつくって、それを発表するという授業だったんですが、僕が当たったのがこの車輪の下だったんですよね。で、僕は1番イヤなのに当たったなあと思ったんですが、それはその先生が若いころヘッセにはまって、専門的に研究していたという話を聞いていたからなんですね。案の定、けっこう細かいところ突っ込まれて、アタフタしたという思い出があるので、あまりいいイメージはありません(笑)

 

車輪の下 (新潮文庫)

車輪の下 (新潮文庫)

 

 

 

「みずうみ」 シュトルム

主人公である、ラインハルトが、若き日のエリーザベトへの恋を思い出すという恋愛小説です。日本でも一時期すごく読まれた作品だそうですね。

失恋の話なので、切ないですが、タイトルにある通りみずうみでの描写はすごくキレイです。

短くて読みやすいので、入口としてはおすすめです。

 

みずうみ 他四篇 (岩波文庫)

みずうみ 他四篇 (岩波文庫)

 

 

 

「こわれがめ」  クライスト

暗い話が続きましたが、これは一転、おもしろおかしい喜劇的なお話です。

タイトルの通り、ある村で甕が何者かに壊され、その犯人探しが始まります。

なんというか、ミステリー的な要素もあって、いろいろな人物が証言をし、徐々に真実が明らかになっていく過程はすごく面白いです。

 

こわれがめ (岩波文庫)

こわれがめ (岩波文庫)

 

 

 

「影をなくした男」  シャミッソー

仕事を無くし、生活に困っていたシュレミールは、ある日謎の男に取引を持ち掛けられます。それは自分の影を差しだす代わりに、金貨が好きなだけ出てくる袋を手に入れるというもので、彼は喜んでこの取引に応じます。しかし、影のないシュレミールは町の人々から気味悪がられ、あっという間に孤立してしまいます。

これ、影が何かの比喩なんだろうなあと思いますが、なかなかその答えは難しいです。

そもそも影がないところでそこまで生活に支障をきたすかなあとも思うんですが、そこらへんにもヒントがありそうです。

子どもでも読みやすいし、車輪の下とか異邦人より読書感想文も書きやすい気がするんですが、いまいち日本ではマイナーですね。

 

影をなくした男 (岩波文庫)

影をなくした男 (岩波文庫)

 

 

 

「古代への情熱」 シュリーマン

小説ではないですけどね。トロイア遺跡のの発見という偉業を成し遂げたシュリーマンの自伝です。

どのように遺跡を発見したかというところも面白いですが、若い頃の話が面白いです。貧しいながらも、仕事をしながら必死に勉強し、独学でロシア語やラテン語で商談ができるまでに語学をマスター。その勉強法もけっこう詳しく書かれています。

何かを成し遂げるのに、いかに情熱が重要か。それがよくわかる名作です。

 

古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)

古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)

 

 

とまあ、自分がわざわざ言うまでもなく評価されていて、面白い作品ばかりです。生きているうちに出会えて、読むことができてよかった、と、大袈裟ではなくそう思います。